【バカンス×映画】愛すべきバカンス映画たち / 十月の物語
短編映画『十月の物語』のテーマは「バカンス」。そして物語の舞台に設定したのは「海辺の町」です。
今回は「海辺の町」を舞台にした「バカンス映画」の中から、特に好きな作品を紹介したいと思います。どの作品も『十月の物語』の制作に大きく関係している映画たちです。
『女っ気なし』(ギヨーム・ブラック/2011年)
ギヨーム・ブラック監督による2011年のフランス映画。海辺の町にバカンスに訪れた母娘と出会った心優しい青年シルヴァンをめぐるひと夏の物語。60分という中編の長さでありながら、冴えない独身男性が美しい母娘たちと過ごすひとときと束の間の恋を上手く描き切っています。
『十月の物語』で矢野昌幸さん演じるコテージの管理人という役柄は、この作品から設定を拝借させてもらいました。
『海辺のポーリーヌ』(エリック・ロメール/1983年)
フランス映画界の巨匠、エリック・ロメールの作品。舞台は夏のノルマンディ。避暑に訪れた15歳の少女ポーリーヌが過ごす一夏の体験をユーモアたっぷりに描いています。
「恋とは?」「愛とは?」という話を海辺でも食事の場面でも延々議論する様子がフランス映画らしくて面白いです。冒頭のシーンも会話しているだけなのに、ずっと見てられるのは演出が上手いからなのでしょうか。不思議です。
この映画の制作体制が「スタッフ5人と出演者のみ」というエピソードを鵜呑みにしたことがきっかけで、『十月の物語』は誕生しています。
『オルエットの方へ』(ジャック・ロジェ/1971年)
ジャック・ロジェ監督による傑作バカンス映画。海辺の別荘にやってくる女3人組が劇中ずっと笑ってはしゃいでいる作品です。(本編は160分もあります)
ちょっとしたロマンス(本当に少しだけです)はあるものの、ほぼ何もしない休暇の様子を淡々と描い映画なのに、全く退屈しないのがすごい。
漁師からもらった鰻を床にぶちまけてしまい、気持ち悪いと騒ぎながらずっと笑ってる場面が延々続くシーンが大好きで、『十月の物語』で登場する伊勢海老との格闘もこの映画に影響されています。
最後に・・・
今回の『十月の物語』にはシンプルな構成、ロングショットの多用など、過去の「バカンス映画」からの引用は数多くあります。何度も観たくなるような愛される作品になると嬉しいです!
また、映画のジャンルの一つとして、「バカンス映画」という視点で映画を観るのも楽しいかもしれません。
映像本編はこちら:『十月の物語』