時代を遡る!? フィルムカメラで撮影されたMV集
今回bacterにて製作した 野崎りこん “空を分かつ feat. tedeo” では、8mmカメラで撮影した映像を随所に取り入れています。
個人的に写真はフィルムカメラを使ったりしますが、映像でフィルムは金額も高いので、昔から憧れてはいたものの、手を出してきませんでした。 値段以外にも大きな懸念点として、現像するまで撮れ高がうまく予想できなことや、日本にそもそもフィルムの現像をしてくれるところが少ないといったことがあります。
ただ体感ですが、海外ではフィルムカメラもMVの中でガンガン使われている印象があります。そこで今回は、“空を分かつ feat. tedeo”を撮る際に参考・イメージにしたMVをいくつか紹介させていただきます。
The Babe Rainbow – Secret Enchanted Broccoli Forest
カナダのサイケポップバンド、ベイブ・レインボーです。ぱっと見、60’sか70’sのバンドなのかなと思います。ヒッピーすぎる。
ロンドンで初めてLIVEを見た際、時代をトリップした感覚になりました。彼らのMVは基本どれもフィルムカメラで撮影されています。ヒキとヨリが混在していますが、正直かなり気持ちよく見れます。
また私たちが、デジタルの画質を知っているからなのでしょうか、被写体のムーブメントを起点にした早いカットの移り変わりもそこまで気になりません。このポイントは今回の映像で参考にしました。
Fazedaze – Lucky Girl
ニュージーランドの宅録ギターポップガールのフェザーデイズです。はい、もう100点ですよね。可憐すぎる。
MVのカメラマンは先のベイブ・レインボーと同じくSamuel Kristofskiで、彼がカメラをする映像は大体16mmで撮られていますね。このLucky Girlでもフィルムの色合いがかなり鮮烈に出ています。
参考にしたのは、女の子の仕草を構図の中心にしたカットと、ポージングが目立っているところ。“空を分かつ”でも車内のカットの手元や、バスケットコートで二人で座ってるカットで少し取り入れたりしてます。
Alvvays – Archie, Marry Me
こちらもカナダのインディーポップバンドのオールウェイズです。彼らのドリームポップの音色や曲調がフィルムの質感と相まって、見ていて懐かしい気持ちを思い起こさせます。
歌詞にも不思議と共感してしまいます。映像的には導入部分のど正面の花吹雪カットが最強。シーンの移り変わりで、ぱっぱとインサートで曲のテイストに合わせた静物のカットを気持ちよく入れることで、別のシーンに変わっても違和感なく見ることができます。デジタルだとなかなかここまで早くできない気がします。
FUR – Angel Eyes
イギリスはブライトンのロックバンド、ファーです。ブリティッシュはロングコートが似合いますね。UKロックの系譜なんでしょうか。服装が異常に格好いいです。映像は8mmをベースにリップシンクのパートではデジタルカメラで撮影していますが、色をそれなりに合わせているからか、違和感なく見ることができます。このバランス感は結構参考になりました。
またもう一点フィルムならではのテクニックとして、こちらのMVの0:34秒頃の同じ画角で2カット連続で撮影し、そのまま編集で切ることなく使うことで、自然にフレアが入り、ちょっとワープした感じがするシーンがあります。“空を分かつ”でも指示していませんが、そんなカットがあったりします。
フィルムを使ったMV、まだまだありますが、今回のMVではじめに8mmを撮ろうと思ったきっかけはこれらの映像です。フィルムでの撮影はハードルが高いかもしれませんが、その分エモーショナル、ノスタルジックなテイストを出しやすいという利点もある気がします。近々またフィルム撮影に挑戦したいですね。
MV本編:野崎りこん “空を分かつ feat. tedeo”
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