Project Story||Kosaku Ando

年賀ムービー2019『REBORN』を振り返る。不安と葛藤がドキドキに変化した”炎”の撮影

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エレファントストーンの新年の挨拶として制作された年賀ムービー。

年賀ムービー2019が公開されてもう一ヶ月が経とうとしている。

タイトルは「REBORN」。

 

渋谷の再開発と過渡期のエレファントストーンを重ね、2019年をもっと素晴らしいものにしようという気持ちを込めて制作した映像作品だ。

年賀ムービーの制作から何日か経ってしまってはいるが、思い出せる限りで振り返り語っていきたいと思う。

 

年賀ムービー2019の企画の始まり

年賀ムービー2019の制作が決まったのは2018年の10月。
いきなり年賀ムービーのディレクターを任された。

前々からコンテンツサイト『bacter』に載せるような映像作品を作りたかったので、誰も見たことない、新しい挑戦をした映像にしたいと思った。

 

会社の業務と並行して年賀ムービーについて構想を練った。制作メンバーと打ち合わせて、モチベーションを高めていく。

 

年賀ムービーのことを考えるだけで、ものすごくワクワクして業務の疲れが吹き飛ぶ。
10月はとても充実していた。徹夜の作業があっても頑張れた。

 

やがて、業務が忙しくなって、年賀ムービーのことを考えるのが困難になる。構成がまとまらないまま、あっという間に12月になった。

 

いままでのワクワクは不安と苦悩に変わって、すでに作品が仕上がるかどうかも怪しくなっていたし、年賀ムービーについて考えるたびに、インフルエンザにかかったみたいに一気に体が重くなってしまっていた。

 

正直に言うと、撮影の日まで不安と葛藤でいっぱいだった。
でも、火を撮影した映像を見た時、ものすごくドキドキしたことを覚えている。新年の始まりってこういうことなんじゃないかって思った。

 

炎の撮影とロケ地探し

炎は私にとって特別な存在だ。

炎を目の前にして座っていると、催眠術にかかったように心が落ち着く。

科学的な説明をどれだけされたとしても、神秘的で不思議な存在であることに変わりはない。

 

炎は、時に明かりや、身を守る武器、暖となり体を温めることができるけれど、使い方を間違えれば火は火災となり、全てを燃やしてしまう。

炎は、人類が進化する上で不可欠な道具であるが、使い方を間違えると
取り返しのつかないことになる。

 

私は、そんな炎の両義性とフォルムがとても好きなのです。

 

今回の映像は、精神的な意味合いをもった炎の演出を目的にしていたので、屋内で炎を撮影できるスタジオを探していました。

それで見つけたのが千葉県君津市にある「AQUASTUDIO」でした。

 

ここ以外で撮影できる場所はないと思い、早速連絡してロケハンを行った。
千葉県の国道16号を下に下って行くと見えたのは、
奇妙な塗装をした廃ビルだった。

 

1人で入るのは不安になるような異様な雰囲気が漂っていて、1Fから5Fまでは、地下駐車場のようなコンクリートの空間が広がっていた。

 

年賀ムービーの構想を実現できる最高のロケーションで、火の撮影をしても十分な距離を保てるし、安全な撮影ができると考えた。

 

また、控え室や綺麗なトイレ、貨物リフトまでついていて、廃墟のようなのに、撮影スタジオとしてかなりしっかりしていて理想のスタジオを発見した、と興奮した。

 

ロケハン中「AQUASTUDIO」がかつてどんな建物だったのか気になってくる。
AQUASTUDIOを管理しているオーナーに聞いてみると、元はなんの建物だったのか管理者でもよくわかっていないとのことだった。

 

あとになって調べてみてわかったことだが、この廃ビルは1970年頃にオープンした「君◯会館」と呼ばれる複合施設だったようだ。

1Fと2Fは、病院だったらしく、それが原因で心霊スポット化していたのだとか。

 

(現在は、撮影スタジオとしてリニューアルしていますが、もし映像になにか変なものが写っていたら教えてください)

 

作品の解説について

映像は本編のみで語られるべきだと思います。

その場面の意味を一つひとつ丁寧に説明してしまうと作品そのものの価値を失ってしまうと思うのです。

これは映像が存在している意義にも繋がってそもそも言葉で説明できるなら映像はいらないでしょって話です。

 

理解しがたい映像だなと思われてもいいですが、
私は、観る人の想像力を信じています。

 

映像を観る:2019 New Year Movie『REBORN』

記事を読む:【INTERVIEW】2019 New Year Movie『REBORN』で炎を撮った理由