Project Story||Sho Tatsuguchi

架空のCM『KOICAMO』の出発点となった、マッチングアプリの広告映像の狭さについて

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KOICAMO」は、架空のマッチングアプリCM、という枠組みの中で制作したショートムービーです。

今作でやりたかったことの一つは、マッチングアプリのCMを更新することでした。

マッチングアプリのCMの映像が非常に狭い範囲で作られているという感覚があり、そこを少しでも広げたいと思って制作しました。この記事では、その映像の狭さについて書いています。

マッチングアプリって何?

マッチングアプリと一言で言っても、恋愛系からビジネス系まで色々あります。今回架空のアプリとして設定したのは、恋活・婚活を目的とした恋愛系マッチングアプリ

アプリの数は100以上あるらしいのですが、そのほとんどが、プロフィールや顔写真をもとに相手を判断し、お互いが「いいね!」すれば見事マッチング成功、というシステムです。

 

ちなみに、「マッチングアプリ≠出会い系」なのだとか。マッチングアプリは純粋な恋愛目的で、出会い系はあっち目的というわけです。

2つを隔てる基準として、マッチングアプリは月額課金制、出会い系はメッセージ1通につき課金するシステムです(だからといって、明確な違いがあるわけではなく、かなりオーバーラップしてるとは思いますが……)。

マッチングアプリのCMの種類

世に出回っているマッチングアプリのCMを見てみると、大きく分けて2種類あることがわかりました。

1.マッチングしたであろう異性の相手がカメラ目線で語りかけてくる映像

2.街頭インタビュー形式でアプリの感想を述べている映像

 

一度でもマッチングアプリに登録したことがある人、あるいは検索したことがある人は、SNSに上記の広告が流れるようになるので、「あぁ、あれか」と思い当たるかと思います。

「なんでこの2種類しかないの?」という疑問が、この企画の出発点でした。

 

広告として効果的だから作られ続けているという前提はもちろんあります。でも今回は、「もっと違う感じのCMがあってもいいじゃん」という無邪気な気持ちを大切にしました。

世のマッチングアプリのCMの大半がこれ

1のカメラ目線映像も細かく分けると、3パターンぐらいに分かれます。

(男性のユーザーには女性が出演してる映像が、女性ユーザーには男性が出演している映像がといった風に、視聴者の性別によって流れてくるものが違うということもあるらしいですが、そこは一旦置いておきます)

①いかにもな女性がいかにもな動きをしている
②いかにもな女性と初デートの待ち合わせシチュエーション
③いかにも感の少ないオシャレ系

 

ほとんどが①か②に当てはまります。
大手のアプリだと③のようなものが若干見受けられました。


オシャレ系にすることで、清潔感をもたらします。
「マッチングアプリ≠出会い系」というイメージを訴求したいのだと思います。

街頭インタビュー形式

2の街頭インタビュー形式も、カメラ目線映像には劣りますが、一大勢力を築いています。

その多くは、アプリを使用したことがある人に感想を求める、という内容です。出演している人はもちろんサクラで台本通り喋っています。そして、いかにもな女性です。

中には、本当にインタビューしているようなものありましたが、SNSで数秒しか見てもらえないような映像だったら、簡潔に台本通りに喋ってもらっている方がいいのかもしれません。

 

ここまで書きましたが、大手のマッチングアプリは、上記の2種類に加えて、コンセプトムービーを制作しているところもあります。ただなぜか、どのアプリのものもテイストや内容が似通っているんです。

アイデア次第では、まだまだやりようがある気がしています。

 

映像を観る:KOICAMO

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