Interview||Tetsuya Yamabe

「CONTACT DESIGN」誕生までの物語を振り返る

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2018年9月末、渋谷・神泉にお店を構えるセレクトショップ 「R for D」とコラボして制作したファッションムービー「CONTACT DESIGN」が完成した。テーマは「ジャンルレスなファッションから描く多様性」。約30ブランドと15人のモデルが参加し、ファッションムービーとしては長めの約3分の映像作品となった。

今回は、映像が完成した記念に「R for D」で行われたトークイベントでの、山部哲也 × 上野恒太 × 近藤弘一の鼎談をもとに、「CONTACT DESIGN」誕生までの物語を振り返る。

繋がりから生まれた出会い

——3人の簡単な自己紹介をお願いします。

近藤弘一(以下、近藤) 渋谷・神泉でセレクトショップ「R for D」を運営しております、近藤です。お店をはじめる前から「DEED FASHION」というWebメディアでデザイナーさんを取材しておりまして、その服を見る場所としてR for Dをオープンしました。

 

上野恒太(以下、上野) 一般の方へのパーソナルスタイリストや、美容師の方のコンテストやシューティングなどのスタイリストをしております! ご興味を持っていただけましたら、TumblrInstagramをご覧いただくか、お気軽にご連絡ください。(連絡先はこちら

 

山部哲也(以下、山部) 映像制作会社エレファントストーンでディレクターをしてます。MV、CMなどを作っている鳥取県出身の田舎育ちです。

 

——今回の企画の経緯を教えてください。

近藤 お客様にお店に来ていただくために“どうしたら魅力を伝えられるか”、”興味を持っていただけるか”を考えた時に、動画を撮りたいとずっと思っていました。何度か試したのですが、なかなかイメージ通りのものができず……。スタイリスト上野さんからの紹介で、今回の企画をスタートする運びとなりました。

 

上野 山部さんとは以前「STIMULUS」でご一緒させていただき、発想の着眼点とそれを映像の表現に変換するセンスが魅力的な方だと思っていました。近藤さんはライターでもあるので、デザイナーさんの意思を汲み取りながら、洋服に限らずアートや雑貨、音楽など幅広いセレクトをされる方です。お二人とも何かきっかけがあればお誘いするつもりでいました。

ある時、僕がフォトグラファー 大里さんの個展の作品に少しだけ参加することになって。そのレセプションにお二人を含めた数人で伺った際に、お二人を絡めたら新しいことができると思いお声かけしました。


山部 青山の中華料理屋で飲みましたねー。お互いに気をつかいながら会話していたのを覚えています(笑) 近藤さんが「動画を撮りたい」っておっしゃっていたのはよく覚えていて、その場で「何か一緒に動画作りましょう!」って言った記憶があります。

それが翌月には実現するとは思ってもいなかったですね。

 

流動的にアイデアが変化していく面白さ

——週1で集まって打ち合わせをしましたが、 企画が進んでいく上でどんなことを思っていましたか?

上野 最初に表現したいイメージは共有していたので、毎週それぞれの視点からアイデアが加わり、そのアイデアに対してお互いが膨らませていく……という掛け合いがとても刺激的でした。

 

近藤 ただファッションムービーを作るということではなく、お店のコンセプトやブランドの選定など細かく聞いてくださり、意向を汲んでいただいていると感じていました。 そして上野さんの視点や撮影のアイデアなども含めて広げるだけ広げきった後に、絵コンテでしっかりとシーンが具体化されていて。正直驚いたというか、プロだなと!

 

山部 ありがとうございます(笑) その場でどんどん内容が変化していく過程が楽しかったですね。何より3人が常に共通のイメージを持って話ができたことがよかったです。

仕事になるとどうしても難航してしまいがちな部分ではあるんですが、今回はスムーズな話し合いができたと思いますね。

 

ファッションは仕事で遊びで日常である

——撮影当日、それぞれが感じたことを教えてください。

近藤 大変なことはなかったです。思っていたよりも重装備のクルーで、撮影前に床が映っている段階からすでにクオリティの高さを実感していました。 照明やカメラワークなど何よりも撮影の勉強になるという感じで、その後の編集をすごく楽しみにしていました。

 

上野 登場人物はなるべくリアルに表現したかったので、年齢、身長、性別、キャラクターがバラバラになることを意識しました。実際のお店のお客さまや自分達の知人などに協力していただき、当日はご本人達の個性をヒントに全ブランドをミックスしてコーディネートをしたのが新鮮で楽しかったです。

 

山部 今回カメラはRED SCARLET-Wを使い、5Kシネマスコープで撮影しました。シネスコにした理由は、普段仕事ではあまり使う機会がないことと、横長で映画的な表現になり、非日常感が映像に出ると思ったからです。

その画角をどう活かそうかなと考えながら、カメラマンとアングルを切っていく作業が楽しかったです。

また、スタッフもモデルも全員、真剣だけど楽しみながら撮影ができたので、すごくいい現場だなと思っていました。

 

——完成した映像を見た感想を教えてください。

近藤 まず思ったのは画が綺麗ということでした。今回の映像は視点が変わっていき、人とデザインが影響し合って変化するというストーリーです。

服の中を通るシーンや着用のシーンは映像を見るまでイメージが沸いていなかったのですが、臨場感と良い緊張感のある画になっています。また終盤への盛り上がりも、多くのモデルさんにご協力いただいたおかけで、とても意図が伝わる映像になったと思います。

 

上野 服の中を通るシーンや着用のシーンは、僕には思いつかなかったので特に好きです!

ファッションにおいて試着はとても重要だと思っていて。というのも、自分の新しい一面を発見したり、デザイナーさんやセレクトした方の感覚を知ったりする行為なんですね。それを映像にしていただいて嬉しかったです。

作中の楽曲はシャッター音がサンプリングされていて、映像のテンポと合っているのも気持ちがいいのですが、人が刺激を受けて頭にインプットすることとリンクしていて最高でした。提供はSalvaged TapesというレーベルのBERVATRAさんで、R for D でも取り扱いがあり、ディレクターさんにはモデルとして参加して頂いています!

 

 

山部 階段を登っていくシーンが好きですね。一人ひとりがヒーローのような、力強い印象を感じました。絵コンテを書いていたときには、こんな雰囲気のシーンになるとは想像していなかったので、改めて映像の面白さを感じましたね。

 

——「CONTACT DESIGN」を通して感じたことは?

近藤 お店のコンセプトを映像のみのストーリーで伝えるという難しい撮影だったと思います。これは僕個人が撮りたいと思っていた映像とは違うのですが、このチームだからこそ生まれ、実現できた表現だと思います。

同じお店を題材にしても、コンセプトや撮影のタイミングで全く違う表情が生まれる可能性を感じたので、もし機会があればまた別の映像も撮ってみたいと思いました。

 

上野 自分にとってファッションは仕事で遊びで日常であると実感しました。これからもファッションの面白さを色々な形で伝えていきたいと思いますし、僕もまた山部さんと近藤さんと別の作品を作ってみたいです。

 

山部 流動的にアイデアが変化していく、面白さ、難しさ、そしてその先にある楽しさを再発見しました。人と関わることで、作品が自分の想像を超えていくことに表現の可能性を感じましたし、同時に難しさも感じました。

とりあえず一貫して言えるのは、楽しかったということです。