Art Film||Tetsuya Yamabe

”繋がり”から生まれた作品「CONTACT DESIGN」のテーマと解説

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CONTACT DESIGN」の企画は、昨年bacterで公開した作品「STIMULUS」に参加してくれたスタイリスト 上野恒太さんが発起人だった。

7月下旬に上野さんの招待で参加したイベントで、セレクトショップ「R for D」のオーナー 近藤弘一さんを紹介していただいた。3人で話をしているうちに「何か一緒にやれることはないか」という話題に。そうして今回の企画が産声をあげたのだった。

この日から撮影までの1ヶ月半、毎週3人で打ち合わせを重ねて、映像の具体的な内容を固めていった。

 

 

テーマは「ジャンルレスなファッションから描く多様性」

ファッションを探る主観と客観、他者から受ける影響による変化を、お店のグリッドレイアウトを活かし、服に囲まれた架空のランウェイのイメージで撮影した。

 

冒頭、お店に入っていく”誰か”の視点から映像は始まる。その”誰か”の視点が、違う”誰か”の視点へと移り変わっていく……。このシーンでは、他者から受ける影響による変化をPOV撮影(Point of View Shot)で表現している。

 

そこから、「服」を着ることで新しい自分へと変化し、自己表現を楽しむ様子を、店内をランウェイのように歩くことで描いた。

 

映像の後半、時間が止まっているように見せているシーンでは、タイトルにもなっている「デザインと接触」する瞬間を視覚的に伝えたかった。服を選んでいる時間が特別なものである、というメッセージを込めている。

 

ラストは、モデルたちが店内から外へ出ていく後ろ姿で終わる。自分らしさを見つけた人々が自信を持って歩く後ろ姿に、強い意志を感じる。お店という”箱”から外に出ることで、それぞれの物語が始まっていくことを表現している。

 

協力してくれたモデルの方々とブランド

今回、協力してくれたモデルの方々の多くが素人だった。「R for D」の常連さん、服飾の専門学生、上野さんの友人、などなど総勢15人。

みなさん、本企画を面白がって参加してくれ、朝早くからの撮影にもかかわらず協力してくれたことに心から感謝している。

 

また、衣装については、「R for D」が取り扱っている約30ほどのブランドをほぼ全て使用している。

 

一つのブランドではなく様々なブランドをミックスして生まれる、新しいファッションの多様性を衣装でも描くことができた。ブランドを混ぜて使用することを快諾してくださった各デザイナーさんにも感謝したい。

15人のモデル、約30のブランドが集まらなければ、本作の魅力は半減していたと思う。

 

人と繋がる重要性

本企画を通して強く感じたことがある。それは「人と繋がる重要性」だ。そもそも企画の発端もそうだし、協力してくれた全ての方々もそう。誰かがどこかで繋がっているからこそ実現できた。

 

そして、そこにある繋がりは決して表面的なものではなく、お互いの信頼関係があって成り立っている。当たり前のことかもしれないが、改めて「人との繋がり」について考え、その重要性を認識させてもらった。

 

最後に

普段着ない・見ない服があることで得る新しい刺激や出会い。これこそが「R for D」のアイデンティティーの具体化であり、ファッション=服にとらわれない楽しさと考える。

CONTACT DESIGN」の映像が、新たな服への挑戦やファッションについて考えるきっかけになれば幸いだ。

 

映像を観る:CONTACT DESIGN

記事を読む:
「CONTACT DESIGN」誕生までの物語を振り返る

【INTERVIEW】「CONTACT DESIGN」に答えの明示はない。だから、捉え方は自由