【INTERVIEW】『Rock this Place』が出来て、みんなに感謝したくなった
アメリカの紅茶「brisk」が好きすぎて出来た映像作品『Rock this Place』。
監督を務めた横山勇樹にインタビューを実施し、briskへの情熱や、本作の制作過程に関する話を伺いました。
横山勇樹
1989年生まれ。御殿場出身。4歳からシカゴへ。ミネソタ大学へ進学し、映画学と比較文学をダブルメジャーで卒業。日本へ帰国しゲーム会社へ就職しようとするも、ディレクターの嶺に誘われエレファントストーンへ入社。モーショングラフィックやアニメーションを得意とし、語学力を活かし多角的な視野で映像を制作する。諸星大二郎のファン。好きな映画は、英国王給仕人に乾杯!、ウォーターシップダウンのうさぎたち、生きる。
——bacterで監督をされたのは初めてでしたよね。実際に制作してみていかがでしたか?
「大学時代に授業の課題で自主制作映像を作ったことはありますが、あくまで課題だったので、本当にイチから作ったのは今回が初めてでした。
映像を観てくれた人たちが『よかったよ』『かっこよかった』って声をかけてくれて、純粋に嬉しかったです。それと同時に、みんなに”ありがとう”という感情を抱きました」
——みんなにありがとう、ですか!
「オスカーだとよく受賞者が舞台上で感謝を述べていますし、海外のCDを買うと歌詞カードの最後に”Thanks to ○○”って家族の名前が書いてあることも少なくありません。それに対して毎回”なんでだろう?”って疑問に感じていたんですが、その感情を理解しました。
作品が出来た時って、周囲へ感謝したくなるんです。
以前の記事でも書きましたが、『Rock this Place』は、自分の好きなものを詰め込んで、好きなように作りました。まさに僕のアイデンティティなんです。その映像を『よかったよ』って言ってもらえるのだから、それは親に感謝しますよね。だって自分自身なんですから」
——そんな風に感謝を感じられるbacterの取り組みだったとは、素晴らしいですね。
「受賞はしてませんがね!
僕の場合は、本作の制作に直接携わっていない職場の人たちにも、一緒に働いてくれていることへの感謝を実感しました。
繁忙期に制作しなければならなかったので、本来自分がやらなければならない業務を同じチームの他のメンバーに対応してもらったこともありました。
それでも、誰一人文句を言わないでいてくれましたし、社内の空気はいつも穏やかでした。あまりストレスを感じずに通常業務とbacterの制作とを両立できたのは、本当にみんなのおかげです」
——本作はbriskが好きすぎて出来たということですが、その思いの丈を少しだけお聞きしたいです。
「昔からbriskが大好きで、よく飲んでいました。もともとは青いパッケージのレモンティーと、白いパッケージのシュガーフリーの2種類だけだったのですが、僕が高校生くらいの頃から新作のフレーバーが登場したり消えたりするようになって、今では十何種類もあります。
一番好きなのは、黒いパッケージのスウィートティー。
出演してもらったモデルのJet( @jetpvr )も、レモンティーは『甘すぎる』けど、スウィートティーは『美味しい』って言っていましたね」
——日本ではbriskを購入できないのですか?
「残念ながら日本では販売されていないので、一昨年からアメリカにいる友人に送ってもらうようにしました。
24缶を箱詰めするとなかなかの重量になるのですが、毎回税関で開封されてしまうようで、テープでぐるぐる巻きかつ確認済みのシールが貼られた状態で届きます(笑)」
——制作過程についても伺いたいです。モデルさんはどのように探したのでしょうか?
「Instagramで日本にいる男性の黒人モデルさんを探して、見つけたのがJet。DMでアポイントを取り、撮影前に一度オフィスに来てもらって打ち合わせをしました。
僕は撮影のことはそこまで分からないので菅野ディレクターにも参加してもらい、bacterや映像のコンセプトについて伝えましたね。
最初、Jetに日本語で話すと難しい顔をされたんです。そこで英語に切り替えると、見違えるほど笑顔になって、たくさん喋りはじめて。
面白かったのが、一通りの話を終えて『ありがとうございました』って僕らが立ち上がっても、Jetが座ったまま好きな音楽の話をしはじめたこと(笑)
”あれ、帰らないな”と僕らも座り直して、しばし談笑しました。英語で会話ができたので楽しかったのかもしれません。共通言語の大切さを実感しましたね」
——モデルのJetさんの軽快な動きともリンクするような、変幻自在な黒帯も印象的でした。
「あれはレターボックスっていいます。好きな表現ではあるのですが、入れた状態で16:9にするのがあまり好きではないんです。それならレターボックスなしで少し大きくして書き出せばいいのになって。
レターボックスを入れるのであれば、絶対に動かして遊びたいと思っていました。
だからオープニングは目だけで徐々に上下に開いていったり、左右を閉じて人が映るところだけ残したり、とにかく遊びましたね」
——たまに登場するキャラクターたちも可愛かったです。
「グラフィティーっぽいイラストを入れたかったんです。5ドルと安く素材が売ってたので、購入しました。
素材集の中にあったキャラクターをほとんど使っています。ただ、顔のついたニンジンのキャラクターだけなんだか気に入らなくて、使いませんでした!」
——弾かれたキャラクターがいたんですね(笑) 最後に聞きたいのですが、bacterの次回作は考えていますか?
「考えてますよ。
briskの映像を作りたいっていうのは前々からあったんですが、bacterがローンチされた時に作りたいと思った映像があります。僕、漫画家の諸星大二郎が大好きなので、漫画のコマをスキャンして、映像で動きをつけたプロモーション動画のようなものを作りたいなって。
許可してくれるかは分かりませんが……諸星大二郎の作品を使って何かやりたいとは思っています!」
<Photo by Nana Bannai(坂内 七菜)>
bacterの公式Twitterでは『Rock this Place』をはじめとした映像作品や、記事をご覧になった感想をお待ちしています。 @bacter_esをつけてつぶやいていただけると嬉しいです!
映像を観る:Rock this Place