CG/Animation||Mitsuru Onishi

「Same old stuff, different day.」はエディターの映像作品

#AfterEffects| #CG| #story| #VFX|
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映像といっても実は多くの分野に分かれています。映画はもちろん、テレビの番組や報道関連、コマーシャル、SNS用の短い広告、屋外の街頭広告なども映像制作です。さらに最近は電車内のモニターで常に映像が流れていたり、Webでニュースを見ていると自動的に動画が流れてきたりもしますね。

このように映像が多様化している中で、”自分たちは何の映像を作るか”をまず考えました。

目指したのは、Roy Pekerの「VFX Games」

「Same old stuff, different day」を制作するにあたって、エレファントストーンにCG制作や編集のチームがあることを伝える内容にしたいと考えていました。

そのうえでどういった映像がいいかと考えて頭に浮かんだのが、2017年に作られたRoy Pekerの「VFX Games」という映像です。

技術の進歩により、最近は一般的なPCでもさまざまなことが出来るようになっています。だからこそ、何が出来るかを見せる映像作品にしたいと思いました。

とはいえ、上記作品はハイクオリティCGを制作しているチームによって、クールに作られているもの。新体制になったばかりのエレファントストーンのエディターチームでどこまでできるかが課題でした。

エレファントストーンらしいCGを含めた映像表現

1カットで歩きながら、エレファントストーンで使用しているAE(After Effects)の特性を都度都度に組み込んで表現してくのはどうだろう……と思ったものの、集まったメンバーからは「それはかっこよくなるのか?」といった疑問の声があがりました。

 

「VFX Games」は細かく見ていくと、いろいろなことを平然とやってのけていてすごいのですが、今の自分たちの力では、限られた時間の中で同様の完成度を目指すのは正直なところ難しい。

そうした中でどうしたらかっこよくなるか、場所や人物、追加する表現などを考えていったものの、なかなか話が進みませんでした。

 

今回は人物が歩くだけの映像にCG加工をつけていくため、「人物」「場所」の2つが非常に重要になります。

チームメンバーの 愈(ゆ)から、「私の友達に黒人のモデルがいます」という発言を受けた時に、根拠はありませんが「これならいける」と確信しました。その時、ようやく制作が進み出す感覚がしました。

条件に当てはまる場所探しに難航

「人物」はクリアしたので、もう1つ重要になる「場所」についても決めなければなりません。「VFX Games」をよく見ると「場所」にこだわっているのが分かります。

 

例えば、
・人物と周りの背景の色の違い(人物と背景が同化しない)
・背景が直線で作られていてトラッキング(CG処理)がしやすい
・光の明暗(コントラスト)が強くない
などといった諸条件を満たす場所で撮影がされているのです。

 

今回の撮影で歩いてほしい距離は50〜100m。あまり光の影響を受けない場所が希望でした。日本ではそれに当てはまる場所がなかなかなく、探し続けてようやく見つけたのが横浜美術館です。

チームメンバーがリサーチして見つけたいくつか場所の中から、テスト撮影とテスト編集をして条件に合致していたのが、横浜美術館でした。

 

歩く距離は美術館外の廊下部分で確保できますし、屋外でも屋根があるので天候の心配はありません。さらに壁と柱に囲まれているので編集の観点でもとてもいい結果が出ていました。

 

しかし撮影のスケジュール調整の段階でモデルさんとの日程が合わず(日程調整で2〜3週間ずれこむ)、泣く泣く別の場所での撮影をすることに……。

 

最終的に、歩く距離の確保を最優先して、両サイドに手すりがありトラッキングができる東扇島公園(神奈川県川崎市)で撮影をすることになりました。(実はこの決定によって後々大変なことになるのですが、その話については次回の記事で書かせていただきます。)

 

撮影が終わって編集へ。映像を作る目的って何?

撮影が終わりいよいよ編集段階へ。エディターの好きに作ってもらう土台は出来ましたが、どうやって1本の映像に仕上げていくか? という問題に直面しました。そもそも「VFX Games」をやりたいと思っていたので、ストーリーはそっちのけで考えていたんです。土壇場になって切羽詰まってしまいました。

 

仕事ではない映像制作は10年ぶり。「自由に作っていいよ」といわれると何を作っていいかわからない自分がいることに気がつきました。“自由な映像を作る=クリエイターの表現”なんですね。

 

自分の過去を振り返って、何を映像の題材にしてきたのかを考えてみました。すると、”人が何かをしようとする勇気”だったな、と……。まるで原点に立ち戻った気分です。

人に勇気を与えるために、映像のCGチームだから出来る夢のような表現を作品としてまとめたいと思いました。

 

参考にしたのが、ダンサーインザダークの「現実世界」と「理想の世界」の表現です。「現実世界」と「なんでも出来るCGの世界」を合わせることで、今できるエレファントストーンのCG表現を表していこうと方向性を固めました。

タイトル「Same old stuff, different day」は制作過程で閃いた

上記をたどった上で、もう一つ新しい発見がありました。チームで映像制作するのは新鮮だということです。

他のメンバーに途中段階を見せて反応を見たり聞いたりしながら、自分の考えと受け手の違いを感じ直す工程……。さまざまな意見を反映させながら映像を完成させていくのは、とてもおもしろかったです。

2分程度の映像なので、当初はタイトルをつけないつもりだったのですが、周りの意見をもらう中で、「Same old stuff, different day」という核ができたように思います。

 

映像を観る:Same old stuff, different day.

記事を読む:
「Same old stuff, different day.」のCG制作を、5つのパートに分けて解説

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