『fall』MVのディレクターに聞く”かっこいい”映像作品の生み出し方
2018年12月18日(火)にVJ + DJ + Vo.編成の奥渋系フューチャーポップユニット「citrusplus」の1stシングル『fall』のMVがリリースされた。
企画・制作はbacter。
▼本メディアではここでしか観ることのできない「ディレクターズカット版」を公開している。
今回ディレクターを務めた山部哲也に、bacterの映像やMVの制作について話を伺った。
山部哲也
鳥取県鳥取市生まれ。2007年上京し、東放学園映画専門学校に入学。卒業後、フリーランスとして活動。WEB映像やMVを中心に映像づくりを行う。その後、2016年に株式会社エレファントストーン入社。TVCM、WEBプロモーション映像、大手メーカーのPR映像など、様々なジャンルの作品を手がける。料理が好き。
ーー『fall』のMVはどのように制作を進めていったんですか? MVの内容やポイントについてもお聞きしたいです。
初めて『fall』という曲を聞いた時は、ポップでキャッチーで「今っぽいな」って思いました。
その後、歌詞の内容や音楽活動についてcitrusplusのメンバーにヒアリングをして。その中で<夜中の街中でダンス>と<水中>の2つを映像に取り入れたいというアイデアをもらったので、そこからストーリーを広げていきましたね。
水に落ちてもやもやしているところから、夜の街で踊ることによって少しずつ自分を見つけていく。最初は夜だったのが朝になって、最後は水から上がる……
「静と動」、「夜から朝へ」、「水の中から外へ」。
そういう要素を含みながら、ストーリーを演出しています。
主人公の感情の変化は、今回「色(照明)」を使って表現してみました。ベースは青いんですが、いろいろな色を使用しています。
ーーダンサーさん(水村里奈さん)のダンスはアドリブだったと知りました。すごいですね!
アドリブですね。
まさしく”プロ”の方で、この楽曲の撮影に向けて作り込まれてきているなって感じました。ダンサーさんのおかげでこのMVが成立したと言っても過言ではないです。
今回2日間の撮影で、夜中の街中のダンスシーンと水中のシーンは分けて行いました。ダンスシーンは深夜24時から明け方までのスケジュール。一晩で渋谷の2ヶ所、信濃町にある高架下、そして竹芝埠頭の4ヶ所を巡りました。
自分たちもハードでしたが、ダンサーさんもひたすら踊っていて大変だったと思います。
ーー制作過程で何か印象的な出来事はありますか?
水中撮影は冒険でしたね。
bacterは予算も時間も制限があるので、「どうやったら実現できるのか」っていうのを毎回ものすごく考えるんです。
今回は、そもそも水中撮影の経験があるスタッフもいないですし、機材も場所も「どうする?」っていうところからのスタートでした。
だから、チームのみんなで考えて、議論をして、チャレンジしてみた。その経験ができて本当によかったと思います。
ーー”bacter”だから意識していることはありますか?
それはあるかもなぁ……。
映像を観た人がどういう印象を受けるかっていうのは考えますね。”かっこいい”が前提にあって。ただ、”かっこいい”にも種類があるので、どういうかっこよさなのかっていうところですね。
ーー本作はどういうかっこよさを目指したのでしょうか。
綺麗でかっこいい感じですね!
ーー映像を作る時に、そういうイメージを具体化していくわけですよね。その発想の源泉って何なのでしょうか?
音とか色とかデザインとか……そういう五感から入ってくるものを膨らませていきますね。
自分の中では二つの考え方があって。まず、感覚的にかっこいいなって思うことからパッと出る発想。これは完全に右脳で考える発想の仕方ですね。
もう一つは左脳的で、いま世の中にあるものでかっこいいなって思ったものに対して、それがなぜかっこいいのかなって考えるようにしています。「なぜ俺は今かっこいいって思ったんだろう?」って、掘り下げて、紐解くんです。
ーーただ「かっこいい」で終わらせない、と。
そうすると「あ、これは、色が変わってるからかっこいいって思ったのかな」とか。
カメラワークなのか、編集なのか、デザインなのか、フレーミングなのか、それとも衣装なのか……色々あると思うんですけど、どこかにポイントを見つけて「だからかっこいいと思ったんだな」って理解する。
そうやって普段から”かっこいい”って思う感覚をストックしておいて、自分から湧き出てきた発想と結びつけて”一つ”にするんです。
ーーそうしてオリジナルの発想になるわけですね。参考になります! 最後に、今後bacterでやりたいことを教えてください。
自主制作のクオリティはもっと上げいきたいですね。あと、海外で撮影をしたいなって思ってます!
<Photo by Jin Peng(金鵬)>
映像を観る:citrusplus 1st single『fall』MV
記事を読む:
citrusplus(シトラスプラス)1st single『fall』MVを振り返る
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▼時代に口髭を生やすニュースメディア『Qetic』で、citrusplus×山部哲也(bacter)の対談記事が公開されています。