MV||Tetsuya Yamabe

【FILM MAKING】 bacterだからこそ挑んだ「水中撮影」

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どうする水中撮影

2018年12月、citrusplus(シトラスプラス)1st single『fall』MVをbacterとのコラボで制作した。

 

MVの中で、水中シーンがあるのだが、今回はその時の撮影について振り返り、機材やロケ地について解説していきたいと思う。

映像の構成として、「ダンスシーン」と「水中シーン」の2つがあげられる。ダンスシーンでの機材構成ついては、カメラは《RED SCARLET-W》。それにイージーリグを使ってサポートするシンプルな構成にした。ブレブレの手持ち感はあえて出している。

そうなると、水中撮影での機材はどうするか?

そもそもどこで撮影するか?

想像していたよりも難しい問題が重くのしかかった。

様々な問題との直面

まず、ロケ地について。

水中撮影ができるスタジオは探せば意外にあるが、MVの内容的にプール感がわかったらかっこよくないことと、曲のタイトルが『fall』なので沈んでいく表現は撮りたいと思っていた。

そうなると、ある程度深さがないといけないし、遮光ができる環境じゃないと出来ない・・・

そこで第一候補にあがったのが、千葉県にある「市川マリンセンター」だった。
ここは、CMやMVなど実績も多く、水深も5mあることなど水中撮影に適した環境となっている。

 

しかし、大きな問題がある。

誰が水中に潜る?

そもそも機材は?

遮光は?

 

なにより一番の問題は、キャスト、スタッフの安全が保障できないことだ。
そこが担保できない限り、撮影はやるべきではない。絶対に。

bacterの撮影は基本的に少人数体制で行う。正直、バジェットも大きいものではない。

CM規模で撮影するとしたら、専門の水中カメラマンを雇い、RED専用のハウジングをレンタルし、がっつり照明を組んで遮光し・・・などなど。とてもじゃないがそこまでの撮影体制を組むことはできない。

 

じゃあ、どうするか?

多少の深さがあって、遮光もできて、なにより安全が確保できる場所・・・。

再度リサーチをしたところ、今回の撮影にピッタリなスタジオを見つけた。そこが、足立区にある【TOKYO POOL LABO】だった。

 

ここは、水中カメラマンのオーナーが作ったスタジオで、水中撮影やプールアイテム開発のスタジオとして使われている。

個室プールは、水深1.5mで、小さな窓しかないので遮光も簡単にできる。そしてなにより、安全に撮影を行えることが、ここをロケ地に選んだ最大の理由だった。

機材どうする?

REDを水中に入れるには、かなりハードルが高い。その他のカメラに関しても、専用のハウジングをレンタルするといろいろと大変だし、専門的な知識も必要。そして、お金もかかる。

悩みながらAmazonを見ていると、《Lumix GH5》というカメラ専用のハウジングを見つけた。
Sea Frogs Panasonic GH5用 水中カメラケース アンダーウォーターハウジング

オモチャみたいな見た目だが、仕様を見ると意外としっかりしている。悩んでいる時間がもったいないので、思い切って購入を決めた。

カメラに水が入らず、ちゃんと収録ができれば問題ない。

 

必然的にカメラはGH5を使用しないといけない。が、このカメラは一眼系のカメラの中でも動画に特化した仕様になっているため、逆にアリだと思った。特に、4K60P収録が可能なカメラなので、使わない理由はなかった。
(今回の納品データはFHDで、収録はD-Log)

 

あとは照明機材。

HMIの照明を一灯使い、そこにカラーフィルターを入れるという、いたってシンプルな機材で臨むことにした。理由としては、あまり引きの画は撮る想定ではなかったので、寄りの画の時に水に光が当たったあの感じが再現できれば十分と考えたからだ。

 

準備が整い、いざ本番。
テスト撮影を行えなかったので、正直不安しかなかった(笑)

妙なテンションのスタッフ達

撮影当時。妙なテンションで現場に入ったbacter撮影スタッフ。

ちなみに、水中カメラを担当したのは、エレファントストーン所属ディレクター菅野。水中撮影の経験はもちろん初めて。彼が一番妙なテンションだった。

撮影時に苦労したことは、正直あまりなかった。

 

カメラも問題なく使えたし、照明も狙い通り上手くいった。水温も調整できるプールだったので、寒さの心配もなかった。

安全面に関しても、そもそも足が着くので溺れる心配もなく、サポートに1人いれば安心して撮影を行えた。

強いて言えば、キャストの水村さんを何度も水に沈めたことで、彼女の体力が心配だったが、段取りよく現場を回せたので問題はなかった。

 

こうして無事に水中での撮影を終えることができた。

補足的に言っておくと、カラコレでけっこう色をいじっている。彩度を高め、黒をかなり締め、他にも色々としている(笑)

そうすることで、幻想的で不思議な雰囲気のある画を作れたと思っている。

 

今回の撮影を通して──

本来撮影をする際はいい映像を撮ることを一番の目的に考えるべきだが、大前提として、キャスト、スタッフの安全を確保して撮影することは当たり前のことだ。

 

ただ、bacterの魅力はクライアントワークではないこと。
多少無茶なことをしても、許される。それが魅力。

冒険は必要だと思う。
だからこそ撮れる映像があると信じている。

 

そういったチャレンジを、クライアントワークでもできるようになったら、より楽しい作品が出来ると思う。

企画に関しても同じ。様々なチャレンジがあり、多くのアイデアが入ることで、新しい発想や作品が生まれると思う。

これからも楽しい冒険をしていきたい。